雪を踏みしめるぐむぐむというくぐもった音が、やがて濡れた地面になり、土になり、草木になると、そこは緑の大地である。美しい木や花々が待ち構えているその場所で、ぼくはううっと一つ伸びをした。
からっぽ島は、どんどん発展を続けている。
チャコは最近品種改良に夢中で、新しい果物や野菜が生み出せないか試行錯誤の日々だ。ペロはぼくが建てたバーで人気のバニーになって、変わらず男たちのハートを射抜き続けている。アネッサは、なんとこの度ほとんど一人で教会を建てた。設計図をいちから作って、そざい島で素材を集めて、ようやく昨日完成したところだ。
どうやら、ミトが望んだことらしい。かつてムーンブルクの土地で失った人たちをここでも弔いたかった、なんて、彼女らしい理由で言われてしまえば、そんなもの、どんなことをしても成し遂げてあげたくなるだろう。(だから、こっそり設計図の手直しをしたり、素材を増やしておいたりするのぐらいは許してほしい)
もうこの島をからっぽだなんて言えない状況だなぁ、と思いながら、くありとあくびをする。今日はいい陽気なので、久しぶりにみどりの開拓地へ赴いている。色々な島からせっせと種を集めて植えた畑は元気だろうか。
ぼくが作ったロッジが見えてくると、見慣れた顔がふたつ、走って傍へ寄ってきた。やぁ、と手をあげれば、2人も返してくれる。
髭の生えたドルトンに、若者のポンペ。チャコの次に仲間になった、もうずいぶんと付き合いの長いふたりだ。
「久しぶりではないか、ビルド!」
「城の方でちょっと手伝いしてたから。教会ができたから、よければ見に行ってみて」
「教会っスか。オレたちにはあんまり縁がなさそうな場所ですね」
「うむ、確かに。神に懺悔することでもあれば赴こう!どわっはっはっ!」
そのまま、ふたりとなにとはなしに世間話をしていると、ふとドルトンが何か言いたげな様子であることに気付いた。畑の方をチラチラ見たり目を泳がせたりといつもより挙動不審だ。それによく見るとポンペも様子がおかしい。ドルトンの方へ目配せを何度も送っている。
何かサプライズでもあるのだろうか、と不思議に思っていると、ドルトンがおもむろに「だいぶ、島の形が整ってきたな!」と大きな声を出した。
それを聞くや否やポンペも「もうからっぽ島だなんて呼べませんね!」と大声で言う。それからは早かった。やいのやいの言ってはいるが、二人が言いたいことはつまりこうだ。「そろそろ島をふさわしい名前に変えてはどうだろうか」更にいえば「吾輩はドルトン島が相応しいと思うぞ!」「ポンペアイランドの方がかっこいいっスよ!」……ということらしい。
それを皮切りに二人は言い合いを始めてしまったので、いつものようになんとなく眺める。ドルトン島もポンペアイランドも素敵ないい名前だとは思う。
って、そうじゃなくて。このままだと別の住人に見つかって、別の名前の候補まで次々上がってきてしまう。そうなる前に早く言わなくては、と思っていると、どこからともなく声がふってきた。どこからともなくというか、上だ。
「だめだ!」
スーパーヒーローさながら、ロッジの屋根からぽんっと飛びおりてきたのはぼくの友人さまである。彼は高いところが好きなようなので、先日島を一望できるところに彼専用の部屋を作ってあげたのだが、移動がめんどいとあまり活用いただけていない。いつもはこうしたロッジの屋根とか、ちょっとした小高い丘や木の上なんかにいる。
ばしっと着地を決めたシドーに挨拶をする。のんきなやつだな、とシドーは目をすがめたが、それでも返してくれるから律儀な人である。
突然の登場にすっかり度肝を抜かれているドルトンとポンペを振り返り、さて、もう一度、かみしめさせるように「だめだ」とシドーは言った。
「そんな名前にはさせない」
「な、なんでっスか!」
「だめだったらだめだ。それ以上言うようなら容赦しねぇぞ!」
「ななな、なんだシドーその暴論は!」
「だいたい、お前たちに島の命名権なんてないだろうが!」
シドーに説き伏せられて、ふたりはばつが悪そうな顔をする。でも、いつもはシドーに強く言われると根をあげるポンペが、今回は珍しく食いついた。
「じゃあじゃあ、ビルドさんはどうなんスか!?」
「どうって?」
「名前、もっとかっこいいのがよくないっスか?もうオレたちはからっぽなんかじゃない、ちゃんと生きてるっていう証に!」
あ、と思う。なるほど、めずらしく真面目な顔をしていたのにはそういうわけがあったんだ。いつもふざけあっているこのふたりも、たまには感傷的になることもあるらしい。
かつてこの世界はうつろであった。うつろな世界に、うつろな島が浮かんでいて、うつろな人間たちが暮らしていた。確かにからっぽ島という名前は、事情を知る人が聞いたら、うつろな島という意味にも捉えられるだろう。彼らはそれを嫌悪しているらしかった。
ポンペに詰め寄られるぼくを見て、視界の端でシドーが目を眇めたのが見えた。なんだかよく分からないけれど、ポンペやドルトンとは反対に、シドーはこの島の名前を変えられてしまうことが何より屈辱だと感じているらしい。でも、ぼくも同じだった。島の名前を、からっぽ島以外に変えるつもりは毛頭なかった。
「うーん、だめ」
「な、なんでっスか……!」
「あのね、ポンペ。この島は中身がないからいいんだよ」
「……」
からっぽ島の名付け親はしろじいだ。一度は消滅したかに思われたかのいにしえのビルダーの魂は未だここにある。彼の意思は、ぼくたちに引き継がれた。
「この島はからっぽだったから、なんでも作ることができたんだ。なんでもない名前だからなんにでもなることができるんだよ。もしここがドルトン島になってしまったら、きっと、今までとは違う形に進んでいくよ。それは、あまりよくないと思うんだ」
「我輩たちは変わらぬよ、ビルド」
「そりゃあみんなはね。でも、これから島にやってくる人が、この島の名前はなんですか?って聞かれて、たとえばドルトン島だよ、って返されたら、どう思うだろう?」
「うーん……ドルトンさんが島の主みたいに思うっスね」
「ね、そんなのはだめだ。川や山や城にはいくらでも君たちの名前をつけて構わないけど、島だけは、だめ」
はっきりきっぱり断ると、ふたりはぐぐうと唸って渋々了承してくれた。
「普段はなんでも二つ返事のビルドさんがここまでいうなら、もう無理は言えないっスねぇ……」
「そうだな……心なしかニコニコ加減もいつもの半分くらいに見える……」
今日はこのくらいにしておいてやろうというドルトンに、ぼくも笑顔が戻りつつある。
そうこうしている内にお昼の時間になったらしい。住人たちが食堂へ向かうのを見て、シドーはそれに反発するように逆を向いて歩きだす。それを追いかける前に、二人に振り返る。
「あのね、ぼくは、君たちをからっぽだなんて思ったことはないからね!」
言えば、ふたりはぽかりと口を開けた。やがてドルトンはあの腰の痛そうな高笑いをあげる。ポンペはむずがゆそうな顔だ。でも、嬉しそうだった。
***
鬣のような黒が揺れている。
島にそびえる山々は、未だ開拓の手をつけられていない。自然を自然のまま残そうか、あるいは潰してしまうのか。山を崩すのはなかなか一苦労だから、シドーを含め島のみんなにもご協力いただかなくてはならないだろう。
山といっても、木々が生い茂るものでもない。言ってしまえば岩肌、剥きだしの大地。無言で歩くシドーに着いていった先にあったのは、ぽつんとそびえ立つ一軒家。染料で赤く染めあげた屋根は、山の下から見上げると十分に主張してくれる。
一人で住むには十分すぎる広さのその家は、ぼくがシドーに用意した彼専用の家である。
中に入れば、ベッドと机が一つずつ、それと灯り。面白い家にしようと思って、尋ねる度にダンベルや本を置いているのだが、使われている形跡はない。そもそもベッドすら、片手で数えられる程しか使われていないだろう。島で作業をしている時は何かとぼくの傍をうろついているし、寝る時だっていつも一緒だ。おかげでぼくは寝床はいつもふたつ持ち歩いている。
座る場所もないので、袋の中からわらの寝床を取り出して、その上に座る。すると、シドーはそのまま床に座ったので、慌ててもう一つ差し出した。次来るときはふかふかのソファを用意しよう、と決意する。
「この家の使い心地はどう?」
「立地がサイアクだな」
「わはは。だろうね」
正直にいうと、こんなところに建てたのはほとんど冗談で、開拓レシピに「高い場所に部屋を作ろう」というのがあったため、なんとなくここを選んで家を作っただけなのだ。それを、様子を見にきたシドーが「ここはオレの家か?」なんていうものだから、ここがいいのかと思って頷いた。それだけ。
でも、完成した時にそれほど喜ばれなかったのを覚えている。出来栄えが気に食わなかったのかと思ったが、いくら聞いてもシドーは何も言わなかった。
「この辺さ、あんまり殺風景だし、何か作ろうかと思うんだ。シドーは何がいいと思う?」
「……いらねえよ」
「風車小屋でも建てようか、庭を作るか……花畑とかはどう?せっかくこんな高いところにあるんだし、展望台やテラスを作ってもよさそう」
「……なあ」
うーん、と唸って考えていると、シドーはまるで歯に物が詰まったみたいな顔でぼくを見つめた。
ずっと、聞こうと思っていたんだが。
その顔は、捨てられた子犬のようにも、子を殺されたオークのようでも、ある。
そんな顔を、前にも見た。世界で一番醜いものを見たような顔。かつては破壊神であり、その後、記憶を失ったシドーにとって、きっとあれが初めての裏切りだったのだろう。
美しい雪の大地で、足元からぞわりと這い寄る寒気のなかで、シドーの顔は美しく歪められていた。まなこには大いなる怒りをたたえて。すべてのいきものが思わず膝をついて許しを乞いたくなる仄かな輝きに、ぼくは、その時ようやくシドーが人間でないことを知ったのだ。
「……どうしたの、シドー?」
あの時ほどひどい裏切りをぼくは知らない。ぼくもリックに騙されたが、ほとんど知り合ったばかりの人間に裏切られるのと、長い時を共に過ごした友だちに裏切られるのではわけが違う。
だけど、もう起こってしまったものはどうしようもないから。二度と同じ事を繰り返さないようにと気をつけていたんだけれど。
あの時と同じような、でも遥かに悲しみが勝る面持ちでシドーは佇んでいる。わらのベッドがちくちくするのか、お尻をもぞもぞさせながら、言いにくそうに口を開く。
「こんな、離れたところに家を作ったのは、オレを遠ざけたかったからなのか?」
「……え?」
「オレはお前やあいつらと違って、ものを壊すことしかできないから、だから、まるでこんな場所に追いやるようにーー」
「ち、違う!!」
バンッ、と地面を叩けばシドーは驚きで目を円くした。
「ぼくが、そんなことするわけないだろ!」
「でも、お前は!」
かつて同じ事をしただろう、とは、言わなかった。でも表情は全てを語っている。ぼくもシドーも、あの時のことは気にしていないふりをし続けていたが、わだかまりは素知らぬ顔で、ぼくらにぐるぐる巻きついていたらしい。
「ぼくは……」
前は、何を言っても取り合ってもらえなかった。どれだけ弁明したって、シドーは聞く耳をもってはくれなくて、一人でどこかに行ってしまった。どこを探してもいなくて、ずっと一緒にいたのに、隣にいたのに。まるで崖から突き落とされたみたいな心地だった。
黙っているぼくを見て、シドーはひどい顔をことさら歪めた。子どものようなくせして、泣き喚いたっていいのに、全部ぜんぶ飲みこんでしまう。
ひどいやつだ。
そう、ひどいやつなんだ、シドーって。こんなに心を交わしたのに、まだ分かってもらえない。この、自分で言うのもどうかと思うけど善意のかたまりみたいなぼくをこれでもかってぐらい疑ってくる。
そもそも、そうだ。シドーだって、嫌なら嫌とハッキリ言えばよかったのに。「オレの家か?」なんて聞かれたら、嬉しいのかと思うだろう。
「……」
「……なんだよ、ビルド」
考えていたらむかむかとしてきて、シドーにもそれが伝わったようだった。赤い光を吊り上げて、背に負ったハンマーに手をかけられる。きっとクセなんだろう。敵意が見える相手には警戒をするのだろう。だけど、それがなおさら気に食わない。
手荷物をごそごそと漁り始めると、シドーは小さく首を傾げた。臨戦態勢の人間を前に、こんな隙だらけの行動をとる意味が理解できないのだろう。
最近作ったと思ったけど、結構奥の方に行ってしまったらしい。ようやくみつかったそれを袋から取り出せば、シドーはぎょっとしてこちらを見た。多少痛くとも構うものか。死にはしないことは身をもって経験済みである。
どすんと床に置けば、導火線がぢりりと音を立てる。さん、に。
耳を弾くような爆発音に、けれど想像していた痛みは来なかった。見れば、あのまたたきの間にシドーはぼくを抱えて外へ飛び出したらしい。あのまほうの玉は威力はそれなりだが範囲は広くない。家から出てしまえば問題はない。
どうやら、助けてくれたらしい。ぼくはそんなことをちっとも望んではいなかったが、それでも、その行動に少し嬉しくなってしまうのも事実だ。
まさに絶句、という顔をしたシドーが、得体の知れないなにかを見たような顔をする。わなわなと震える手が、ぼくの胸倉をしっかりつかんで揺さぶった。
「~~っに!!考えていやがる!!あぶねぇだろうが!!」
「うるさいばーか!こんな家いらないんだろ!」
「っつかせっかくお前が作ってくれたのに!あと、怪我でもしたらどうするんだよ!」
「怪我くらい治せる、建物なんか壊したっていくらでも作ればいい!だけどきみは!」
シドーは、ここにしかいない。マギールやゴルドンや、ムーンブルクで失った多くの人にはもう会うことができない。キラーGとだって、もう二度と言葉を交わすことはできないんだ。
「いなくなったら、終わりだ。もう二度とシドーを失いたくないよ……」
シドーを悲しませるだけの建物は二度と作るまいと思っていたのに、またしても作ってしまったというのが悔しくてたまらない。
いっそ泣き喚いたら分かってもらえるだろうか、と思っていたら、胸倉を掴んでいたシドーの手から力が抜ける。目は左右に動き回って、色々と、動揺しているのが見てとれた。
「あー……その、まじでそんなつもりじゃ、なかったんだな。……よかった」
「あた、あ、当たり前だろ~……!」
「オレは、ばかだなあ。不安になってばっかりだ」
シドーは自嘲気味に笑ってその場にへたり込んだ。そのまま背のハンマーを放り投げて、柔らかい草の上に寝転がる。
「さっき、お前がポンペやヒゲに島の名前を変えたいって言われてるのを見た時、自分でもびっくりするぐらい目の前が真っ赤になったんだ」
「……うん」
「この島は、オレとビルドと、ルルが始めた。それなのに、後から来たやつに乗っ取られるなんてご免だと思ったんだ」
「乗っ取る気なんて、きっとないよ」
「そうだよな、普通そうだ。でも、オレはこんな風に遠ざけられちまうようなやつだから、その内、なかったことにされるのかもしれないと思って怖かったんだ」
ぼくも、シドーに倣って隣に寝転がる。かさり、と草の擦れる柔らかい音がした。シドーの家の周りには自然がある方がいいだろうと思って、わざわざみみずんに辺りを草原に変えてもらったのだ。花だって色々な種類の種を植えている。遠ざけたいと思っていたら、こんなに懇切丁寧に整えたりなんかしない。そんな簡単なことすら、シドーは分からないんだ。
「……仕方ないよ、シドーはたぶん、ぼくより人間だった時間が少ないんだから」
破壊神シドーがこの少年の形に収まる前、どんな生き方をしていたのかなんてわからない。なんせ神様だ。ぼくもシドーもいったんは世界そのものを作るなんて神様みたいな存在になってはみたものの、いまいちよく分からない。
わからなくていい。もう神様は関係ない。これからは、ぼくら人間たちが世界を作っていくんだから。
「シドー、ごめんね」
「なんでビルドが謝るんだ?」
「きみが謝りやすくするためにさ。ねえ、ほら」
「なんだそれ。……まあ、悪かったよ」
シドーの目には、穏やかな炎が灯っている。
***
中途半端に壊れた家は、一思いにシドーに壊してもらった。いっそこの山ごと潰してしまおうか、と冗談で言ったら驚くほど引かれてしまったので慌てて取り繕い、どこに建てようかと持ちかける。
「シドーが、ここがいい、っていう場所はある?」
シドーはしばし逡巡したあと、あそこがいい、と手を叩いた。
シドーに連れられてきた場所は、みどりの開拓地の裏側の荒れ果てた土地だった。川も通していなければ、草木もほとんど枯れ朽ちている。モンスターもよく湧く場所だ。
「……ここでいいの?」
「ここが、いい」
だってビルドはここに家を作るんだろ。
このシドーのなんと楽しそうに笑うこと。ぼくは顔があつくなる。肝心なぼくの気持ちは全然伝わらないくせに、こういうことはお見通しなのだから困ってしまう。
かつて、いにしえのビルダーがこの島に辿り着き、恐らく最初に作った家の跡地が、ここにはある。屋根は落ち、床はボロボロ。机やドレッサーには永い時を表すように埃が積もっている。
それでも、ここを初めて見付けたとき、そして、いにしえのビルダーの手記を読んだとき。ばくぜんと、ここがぼくの終の棲家だと思った。あらゆるものを作って、作って、もうぼくが作るべきものがなくなったら、きっとここで死のうと思っていた。
そこまでシドーが見通していたかはわからない。ただ、いつも近くにいたから、同じようにしただけかもしれない。
それでも。ぼくの側に居続けることを選んでくれたのは、何よりの喜びだと思った。
「まず、何をするんだ?邪魔な岩や枯れ木をぶっ壊すか?」
「……うん。そうだね、そうしよう」
いつものように設計書を作ってもよかったが、そうはしない。ぼくだけで作っても意味がないからだ。
胸が高鳴る。物を作る時はいつもこうだった。口角が自然と上がって、心臓がどきどきし始める。一旦作り始めると、もうそのことで頭の中がいっぱいになってしまう。
「ねえシドー!欲しいものがあったら言ってね、ぜんぶ、完璧に作ってあげるから!」
「おう!じゃあまずは手始めに、でっけぇ寝室な!」
この崖に、ふたつの家が並ぶところを夢想する。ぼくの方は素朴な家でいい。代わりにシドーの方をうんと豪華にしてやろう。互いの家を行き来できるのも楽しそうだ。
さっそく建材を選びながら、ああでもないこうでもないと言い合いながら作っていく。ああ、これだって、ものを作るということだ。町を、景色を生み出すってことだ。
シドー!きみだって、ものを作ることができるんだぜ!
「……なんだよ?ニヤニヤしやがって」
「んふふ」
まだ言わない、言ってあげない。ちょっとした意地悪だ。この家ができたときにでも、教えてやろう。